女ウルトラマン先生 第4話 ◇友情の架け橋◇ 






ある日の放課後、星涼子は亀山多美子が1人たたずんでいるのを見た。彼女は涼子のクラスの生徒で、1人でボーっとしている事が多い。
というよりも、他のクラスメートが意識的に彼女を疎外しているようにさえ感じる。涼子は多美子に話し掛けてみた。
「ねえ多美子ちゃん、ちょっとお話していいかしら。」
「せんせい・・・。は、はい・・・・。」
ボソボソっと返事をする多美子。涼子はこれまで、彼女の元気な声を聞いた事がない。
「多美子ちゃんはいつも1人でポーっとしてるけど、誰かとお話ししたりとかしないの?」
「え・・・。わ、わたしは、1人でいる方が好きなんです・・・。」
「そう?お友達たくさん作って、みんなとお喋りするのってとっても楽しいと思うんだけどなあ。誰かお友達になりたい子とかっていないの?
 そうだ、勇波亜織ちゃん。彼女もいつも1人でいるでしょ?彼女とお友達になったらどう?ああ、そういえば卯月奈々絵ちゃんって、
 あなたと小学校の時同じクラスだったんでしょ?仲良しじゃなかったの?彼女スポーツ出来るし明るいし、とってもいい子じゃないの。」
「・・・いいんです。せんせい、私かえります・・・。」
「た、多美子ちゃん・・・・。」
そそくさと教室を出て行く多美子。涼子は職員室に戻り、副担任の矢的に相談してみる。
「・・・僕も亀山の事は気になってたんですよね・・・。もしかしたらアイツ、イジメられてるんじゃないかって・・・。」
「イ、イジメ!?」
「イジメというか、みんなにシカトされてるんじゃないかと思うんですよ。ああいう、大人しくて暗い感じの子は、割と標的にされるらしいんですよね・・・。」
「そんな・・・。私のクラスで、イジメだなんて・・・。こりゃ、なんとかしないと!」
涼子は学校のプールへ駆けていった。水泳部の奈々絵は部活動中であった。
「カメ子の事?そりゃあ、あの子とは幼馴染だけど・・。あの子ってウジウジしてるし・・。ハッキリしない子だから、あんまり関わりあいたくないんだ・・。」
「けどあなたと多美子ちゃんは、小学校の時とっても仲良かったそうじゃない。せっかくまた同じクラスになれたんだから、
 仲良くすればいいじゃないの。」
「・・・じゃあさ、先生・・・。あの子が水泳出来るようになったら、仲良くしてあげてもいいよ・・・。」
「水泳!?そういえば彼女、カナヅチだったわよね・・・。でも、なんで?」
「別に・・・。とにかく、あの子が泳げるようになったら、また友達してあげてもいいよ。」
「よし!私が彼女を泳げるようにしてみせるわ。彼女が泳げるようになったら、仲良くしてあげてよね。約束よ!」

その晩涼子は多美子に連絡を取り、夜のプールに呼び出した。涼子の迫力に気圧され、多美子は渋々と現われた。
すでに水着姿になっていた涼子は多美子を強引に着替えさせ、プールまで手を引いていった。
「ちゃんと準備運動しないとね。イチニ!イチニ!」
「せんせい・・・。わたし、泳ぐなんて無理です・・・。」
「大丈夫だって。先生がマンツーマンで教えてあげるからさ。まずは手本を見せてあげる!」
涼子はプールに飛び込むと、クロール、背泳ぎ、平泳ぎにバタフライと次々と披露。立ち泳ぎのまま、プールサイドにしゃがみ込んでいる
多美子の近くにやってきた。
「水の中を自由に泳ぐのって、とっても気持ちイイよ。さ、多美子ちゃんもおいで。」
「せ、せんせい・・・。私、無理です。」
「大丈夫だって!」
強引にプールに引きずり込み、特訓を開始する涼子。多美子の手を引き、バタ足で泳がせる。
「よおっし。その調子!ちょっとだけ手を放すわよ。」
涼子がパっと手を放すと、途端に多美子は溺れ出す。
「あああ!だ、だめ!せんせい助けて!」
「多美子ちゃん!」
涼子にしがみつく多美子。身体がガタガタと震えている。
「イ・・・イヤ・・・。怖い・・・。水が、怖いの!」





2人はプールサイドにしゃがみ込む。
「・・・去年の夏・・・。ナナ・・・卯月さんと海へ行ったんです。卯月さんについて沖までいったんですけど、私そこで溺れて、死にそうになって・・・。
 それ以来、水が怖くて・・・。」
「そうだったの・・・。」
「・・・その事があってからかな・・・。私・・・どんどん気が小さくなっていったんです・・・。卯月さんとお話しする事も、だんだん無くなっていって・・・。」
「多美子ちゃんは、また奈々絵ちゃんとお友達になりたい?」
多美子は小さく頷いた。
「だったら、頑張って泳げるようになろうよ。あなたが水への恐怖を克服して泳げるようになったら、奈々絵ちゃんはまた仲良くしてくれるわ。」
「そ・・・そうかなぁ・・・。」
「勇気がある所をバッチリ見せれば、彼女だってあなたを見る目がかわるわ。大丈夫、私が絶対あなたを泳げるようにしてみせる!
 だから、もう一回やってみよ?」
「・・・・はい・・・。」
再びプールに入り、練習を開始する2人。その光景を、奈々絵はこっそりと見ていた。あの夏溺れ死にかけてから、何をするにも自信を無くして
殻に閉じこもってしまった多美子が、必死になって泳げるようになろうとしている。その姿から目を離す事が出来なくなっていた。
その時、突如2人がもがき始める。多美子はともかく、涼子までもが溺れかけているような感じだ。
「ウアップップ!!だ、誰!?誰かいるの!?」
何者かが涼子の足を引っ張っている。多美子の方も足をひかれ、彼女は溺れる寸前だった。涼子が足をバタつかせると、
涼子の足を引っ張っていた者は頭を蹴られた。必死で多美子の方へ近づき、彼女をプールサイドへ押し上げる。
数名の手が、涼子の足や太もも、腕や水着を引っ張り、水中へ引きずり込もうとする。
「せ、せんせい!!」
「多美子ちゃん、逃げなさい!早く!ぷぐああ!」
涼子の身体が沈んでいく。思わず駆け寄ろうとした奈々絵だったが、多美子に襲い掛かろうとプールサイドに上がってきた者の姿に怯え、
足がすくんでしまった。
「きゃあああああああああああああああああ!!」
多美子は化け物の如きその姿を見て悲鳴をあげる。化け物は多美子を強引にプールに引きずり込み、消えていった。
ガタガタと震えてしゃがみこんでしまった奈々絵に話し掛けてきたのは、涼子と多美子の事を聞き及び、様子を見にきた矢的だった。
「卯月じゃないか!?なんでお前がここに!?」
「や、矢的先生!多美子と涼子先生が!」

誰もいなくなったプールを眺める奈々絵と矢的。
「2人が消えただなんて・・・。」
「ほ、本当です!河童みたいな化け物が、2人をプールの底へ連れて行っちゃったんです!」
「・・・考えられるとしたら、プールの排水口からその河童の化け物が現れて、2人を連れ去った、という所か・・・。
 排水口は確か、直接下水道に続いていたはずだ。よし、俺は2人を捜す。お前は家に帰るんだ。」
「先生、私も2人を捜します!」
「卯月・・・。よし、先生に付いて来い!」

涼子はゆっくりと目を覚ます。そして、周囲を取り囲む者達の異形ぶりに驚いた。
「だ、誰なのあなた達!?」
「ガーッパッパパ!我々はガーバルト。古代より水中で生息してきた先住民だ。ガーッパッパッパ!」
得意げに笑うガーバルト。涼子は四肢を拘束され、逆さに宙吊り状態にされている。傍らには、同じ格好をさせられた多美子がいた。
彼女は大量の水を飲み、意識を失ったままであった。
「なんで私達がこんな事されなきゃいけないの!?私達を自由にしてちょうだい!」
「ガーッパッパッパ!我等ガーバルトの秘密を知られたからにはお前等を見逃すわけにはいかない。」
「秘密!?」
「我等ガーバルトはこの下水道を前線基地として、地上奪回を目論んでいるのだ。頭部の皿が干上がると活動が出来なくなるという弱点を、
 日々の特訓により克服した我々に、ついに行動の時がやって来たのだ。地上人どもが寝静まるとあのプールを始め、
 様々な所から地上に出てはこっそりと地上の様子を伺っていたのだ。」
「そんな事、今初めて知ったわよ!」
「むむむ・・・。とにかくだ、この事を誰にも言わないと誓うのであれば、地上へ返してやらない事もない。」
「そんな事どうでもいいから、彼女だけでも自由にしてちょうだい!」
「どうでも良くはなーーーい!!」
涼子を拘束する鎖がガラガラと音を立てて下がっていく。そして涼子の真下には、たんまりと水の張られた巨大な桶が。
「!!!!!!!!!」
「窒息して死にたくなければ、秘密を漏らさないと誓うのだああああ!」





薄暗い、迷路のような下水道を行く道すがら、奈々絵は矢的に話し出した。
「・・・みんながカメ子の事を無視しようって言い出したの・・・。大人しくって地味な子だから、からかいやすいってのもあるし、
 割と可愛い顔立ちしてるから、男子にもちょっと人気があるみたいで、そのやっかみってのもあるんだと思う。
 私だって本当は、大した理由もなくカメ子の事シカトするのはつらいよ。幼馴染で一番の友達だったんだから。けど・・・。」
「亀山と仲良くしたら、お前もみんなから無視されるって思ったんだな?」
「・・・・・」
「なんでも、亀山が泳げるようになったらまた友達になってもいいって涼子先生と約束したそうじゃないか。
 そんな事、絶対不可能だって思ったから、そう言ったんだろ?」
「あの子、死ぬような思いしたから、水への恐怖が無くなるなんて絶対無理だと思った・・・。絶対あきらめてくれると思った・・・。」
「あいつの方から諦めてくれれば、お前は罪悪感を感じる事もなく、あいつを無視できるって、そう思ったんだな?」
「・・・先生の、言う通り・・・。」
「で、どうだった?あいつは諦めようとしたか?」
「・・・カメ子、頑張ってた・・・。グズなくせに、必死に泳げるようになろうとしてた・・・。」
「水への恐怖を克服して、自分に自信を持てるようになれば、きっとお前も見直してくれる。あいつは心の中でずっと思ってたんじゃないかなあ。
 そして、涼子先生がそのきっかけを作ってくれた。あいつは勇気を出して、それに挑もうとしたんだ。」
「・・・・・」
「お前も勇気を出して、あいつの気持ちに答えてやるべきなんじゃないかなあ・・・。」

桶に顔を浸しつけられ、もがき苦しむ涼子。やがて涼子の身体が、ザバァッと引き上げられた。
「げほッ!げほッ!」
「どうだい?我々の話、聞かなかった事にするか?」
「彼女を自由にしなさい!」
強い口調で言い放つ涼子だが、再び桶に顔を突っ込まされる。ブクブクと泡を吹き、身をよじる。
同じ問答が幾度となく繰り返され、鎖はガラガラ上下する。やがてその音を聞き及び、多美子は意識を回復する。
「ん・・・んん・・・。い、いやぁぁっ!先生!先生!」
引きずり上げられる涼子。ゲホゲホと咳き込む涼子の顔を覗き込むガーバルト。
「ガーッパッパッパ!しつこい奴め。今度はもっとながーい間沈めてやるぞ!」
「・・・・やりなさい!私はあなた達なんかの言いなりになんてならないわよ!」
涼子は虚勢をはる。水の入った桶は、多美子の下にも置かれている。多美子を苦しめないためには、自分が犠牲になるほか無かった。
何度も何度も水に浸けられ、引っ張り上げられる涼子。それでもガーバルトを挑発し続けた。
「お・・・お願いやめてぇ!先生が死んじゃう!」
「もう一度聞くぞ。我等の計画、忘れ去ってくれるか?」
「・・・地上侵攻なんて、許さないわ。私はUGMの隊員よ。絶対阻止してみせる。」
「なんと!?お前UGMの隊員か!?」
ガーバルトは、地上侵攻の障害となるであろうUGMの存在は知っていた。すると突然、涼子の拘束を解き放った。
「ガーッパッパッパ!面白い。お前が地上を防衛するUGMの隊員なら、一つ勝負をしようではないか。」
「勝負?」
「お前がUGMの隊員だというのなら、すなわち地上人の代表という事だからな。お前が負けを認めたら、地上は我等のものだ。
 だがもし、お前が勝つ事が出来たらお前達を自由にしてやる。」 
「で、なんの勝負?」
「そんなもの、相撲に決まっておるだろうが。」
「ス、スモー!?」
「我々ガーバルトは、揉め事があったら相撲で決着をつける事になっておるのだ。もしお前が一回でも勝つ事ができたら、
 見逃してやろうではないか。」
「本当ね!?ようし、やってやろうじゃないの!」
「先生、無茶だわ!」
「大丈夫よ多美子ちゃん、TVで見た事あるし。絶対助けてあげるから、もうちょっと我慢しててね。」
どすこいと四股を踏むガーバルト。涼子も四股をふみ、ガーバルトと見合う。
「はっけよい、のこった!」
ガッツンとぶつかる両者。だが、涼子は軽く上手投げを決められる。
「ガーッパッパッパッパ!どうしたどうした!」
「ま、まだよ!もう一丁!」





投げられても投げられても立ち向かう涼子。さすがにガーバルトは、自信満々なだけあって強かった。
「ガーッパッパッパ!何度投げられれば気が済むのだ。いい加減負けを認めろ!」
「ま、まだまだぁ!」
「せ、先生もうやめてぇ!」
ガーバルトの多彩な技が次々と決まる。すくい投げ、突っ張り、鯖折り、ねこだまし・・・。いいようにあしらわれる涼子。
「そこまでだ!」
涼子達を助けにきた矢的が叫ぶ。だが涼子はそんな事はお構いなしにガーバルトにがぶり寄る。思いっきり投げられ、無様に吹っ飛ぶ涼子。
それでも負けを認めず、ガーバルトに懲りずに突進する。
颯爽と救援に来たはいいが、まるで無視された状態の矢的。懸命にガーバルトに立ち向かう涼子を黙って見るほかなかった。
「矢的先生!2人を助けないと!」
「卯月、涼子先生を見ろ。立ち合いも踏み込みもまるでなっちゃいない。ハッキリ言って、涼子先生に勝ち目はない。
 だが涼子先生は多美子を助けたい一心で、ああやって立ち向かっているんだ。」
「・・・・・」
「あの姿を見て、多美子も心を揺り動かされてるだろう。お前だって、そうだろう?」

何度投げられてもしつこくぶつかってくる涼子に、さすがのガーバルトも辟易してきた。徐々に息があがってくる。
「グム!ま、まずい!皿の水分が足りなくなってきた!」
「えぇぇぇぇぇいッッッッッ!」
渾身の力を込めた涼子の下手投げが見事に決まる。ゴロリと投げられたガーバルト。
「バ、バカなあああ!」
「や・・・やったわ!多美子ちゃん、先生勝ったわよ!」
涼子の元へ、矢的と奈々絵が駆け寄った。
「やりましたね、涼子先生!」
「や、矢的先生!?それに、奈々絵ちゃんまで・・・。」
多美子の拘束を外すと、彼女と奈々絵は抱き合い、そして見つめ合う。
「卯月さん・・・。私、あなたと仲良くしたら、あなたまでみんなから無視されちゃうと思って・・・。」
「多美子・・・。わかってた・・・。あなたがそう思ってるって、私わかってた。でも、ゴメンね・・・。みんなから疎外されるのが怖くて、
 あなたと仲良く出来なかった・・・。ゴメンなさい多美子。また、友達になってくれる?」
「ナナ・・・。ありがとう・・・。」
2人の友情回復を見て、微笑む涼子と矢的。
「一歩踏み出す勇気。それを涼子先生が、あいつらに教えてくれたおかげですよ。」
「・・・良かったわ・・・。本当に、良かった・・・・。」
「ムガアアアアアアアアアアア!!」
まったりした雰囲気をぶち壊すガーバルトの嬌声。
「こんなもの、納得がいかんんんッッッ!地上を諦めるわけにはいかんんんッッッ!!出でよ、ディクロォォォォスッッ!!」
「なんかヤバイ雰囲気ですね。みんな、逃げるぞ!」
下水道から逃げ去り、地上への脱出に成功した4人。その時、学校の近所にある安土池から巨大な生き物が姿を見せる。
ガーバルトを巨大にしたような容姿をした巨大生物が満月に嘶く。
「な、なんだあれは!?」
「ガーッパッパッパ!あれこそは我等ガーバルトの守護神、ディクロスだ!さあ、地上で一番の相撲取りよ、ディクロスが挑戦を受けるぞ!
 ディクロスが勝ったら、地上は我々のものだ!」
「あんなのに人間が勝てるわけないわ!」
涼子はダっとディクロスの方へ駆けて行った。
「涼子先生!」
「お前達2人は逃げろ!」
UGM戦闘機が飛来し、ディクロスに対し攻撃を仕掛ける。だが、ディクロスは涼しい顔だった。
「お前等では勝負にならんわ!お前等がどうやって相撲を取ろうというのだ!?ガーッパッパッパ!」
ガーバルトの高笑い。その時、光と共にユリアンが登場する。
「な、何者だあれは!?」
うろたえるガーバルトに対し、矢的が叫ぶ。
「あれはウルトラ戦士のユリアンだ。地上人の代表、地上の守護神としてユリアンが相手をするぞ!」
「ぐむむむ・・・。ええい、ディクロス!やってしまえ!」





ドッスンドスンと四股を踏むディクロス。ユリアンも対抗する。はげしくぶつかり合う両者。白熱の大一番の末、
見事にユリアンの下手出し投げが決まる。だが、倒れたディクロスはユリアンめがけて口から高圧水流を吹いた。
「ああ!卑怯だぞ!」
「バカめ!我等が守護神ディクロスは相撲に負けたからといって敗北を認めるような高等な知能など持ってはおらん!
 ディクロスは野蛮なのだ!低脳なのだ!アホなのだ!」
守護神に対して随分な言いようだが、こうなればユリアンも黙ってはいない。サクシウム光線の構えを取り、ディクロスに照射する。
するとディクロスはクルリと反転。背中の甲羅で光線を受け止める。固い甲羅は光線を受け付けなかった。
ユリアンは高々とジャンプし、必殺ユリアンキックを狙う。だが、高圧水流をぶち当てられて地に落とされるユリアン。
うずくまるユリアンにノッスノッスと歩み寄るディクロス。その時ユリアンはバっと立ち上がり、ディクロスの腹に蹴りを見舞う。
すぐさまサクシウムの体勢に入る。
「ま、まずい!ガァァァバルト念力ッッ!」
「ヴェ、ヴェア!?」
ガーバルトが力を込める。するとユリアンは見えない力に拘束され、身動きが取れなくなる。ディクロスがノッシノッシと近づくも、
ユリアンは逃げる事が出来ない。ディクロスの得意のツッパリが、ユリアンの顔面をとらえる。続いて豊かな乳房にもツッパリの連発。
ユッサユッサと揺れるユリアンの乳房だが、身体の自由は効かない。やがてグっとしゃがみこんだディクロスは、
ユリアンの股ぐらに狙いをさだめる。水かきのついた巨大な手のひらで、渾身のツッパリをかました。
「ヴェガハアアアッッッッ!!」
凄まじいまでの痛みは、脳天にまで響き渡る。一瞬ユリアンの瞳の輝きが失われるほどであった。
「クッ!ガーバルト、卑怯だぞ!」
矢的がガーバルトに組みかかり念力を解除させる。身体の自由を取り戻したユリアンだったが、ディクロスの手形のついた恥丘を押さえて悶絶する。
ディクロスはユリアンに馬乗りになり、マウント状態からツッパリをお見舞い。なす術のないユリアンに対し、ディクロスは嘴を光らせる。
ユリアンの身体に嘴をめりこませ、ギリッと引き裂いていった。
「ヴェギュアアアアッッ!!」
幾度となく嘴を突き刺し、ユリアンの肌をビリビリと裂いていくディクロス。ユリアンの絶叫が響き渡る。
「ヴェアア!フゥ、ングウアアア!ヴゥゥ、フウアアア!ヴフェアアッッ!!」
激痛が走り、抵抗する力を失うユリアン。ディクロスはムクリと立ち上がり、ユリアンの股間をムギュっと踏みつける。
はげしく反応して悶えるユリアン。ここがユリアンの弱点であると判断したディクロスは、股間めがけて高圧水流を吹き付ける。
「ヴェアァァァーーーーーーーーーーーー!!!!」
絶叫するユリアン。強力な水圧はユリアンの恥丘を凹ませ、さらにユリアンの巨体をジリジリと後退させるほどの威力であった。
ユリアンの瞳の光は今にも消えそうになる。そしてディクロスはしゃがみこみ、大きく反った後ユリアンの恥丘に嘴を突き刺した。
ズブリという不快音が響き、救いを求めるかのように手を天に伸ばすユリアン。ディクロスは容赦なくユリアンの股間をえぐり、
そして何度も何度も鋭い嘴をめり込ませる。
「ヴェアア!フシュゥアアア!ヴグアアア!!ヴェア、ングゥアアア!!ガフアッッ!!・・・ッ!!・・・・!・・・・・・・・・。」
顔を横に向け、グッタリとするユリアン。瞳の輝きは消えている。それでもディクロスは責めをやめない。すでにズタボロのユリアンの恥丘だが、
なおもギリギリと裂いていく。
「・・・・いかん!」
矢的は駆け出した。そして、尻ポケットからスティックを取り出す。矢的はスイッチを入れつつ、スティックを天へ放り投げた。
スティックは光り輝きながら光球と化していく。その太陽の如き輝きは、ユリアンに再び立ち上がる力を授けたばかりでなく、
ディクロスの頭部にある皿を干からびさせていった。力が抜けていき、頭を抱えてうずくまるディクロス。ユリアンは再び立ち上がり、
わずかな力を振り絞ってサクシウム光線を発射する。それを喰らったディクロスは、ズシンと音をたてて倒れた。
「ディ、ディクロス、ディクロォーーーーース!ディ、ディクロスが負けてしまうとは・・・。」
スティックをキャッチした矢的がガーバルトに歩み寄る。
「ガーバルト、今この地球を統治しているのは地上人だ。・・・そして地上人は今のところ、先住民族とわかりあい、一緒に暮らしていける程
 心豊かとは言い切れない・・・。お前達は、迫害されてしまうだろう。」
「なんと・・・。」
「だがいつか、全ての地上人がどんな者たちともわかりあい、受け入れる心を持つ日が来ると俺は信じてる。だからその日まで、待ってくれないか?」
「・・・そんな時が来るのか?」
「少なくとも、俺と彼女は信じてる。そのために、俺達はここにいるんだ・・・・。」
ユリアンが飛び去った方角を眺める矢的。
「・・・いいだろう。ではその時が来たら、改めて地上へ赴くとしよう。」
ガーバルトの言葉に、矢的は微笑みつつ、言い返す。
「胡瓜を用意してお出迎えするよ。」


“・・・多美子ちゃんと奈々絵ちゃんの友情は快復しました。確かに、他のクラスメート達とぎこちない関係になってしまったようではありますが、
 いつかみんな心を開いて、仲良くなれる日が来ると信じています。  

 P.S. もしかして、また助太刀してくれた?“ありがた迷枠”って言葉、知ってる?」                                         “


                                   ― 続く ―




怪獣ファイル VOL.1

水棲怪人ガーバルト
地球の先住民族。緑の体色に頭部の皿、嘴や甲羅、水掻きなど、容姿は河童そのものだ。各地に点在する河童伝説は、
ガーバルトの仕業なのかもしれないぞ。
得意技・・・ガーバルト念力 上手投げ     弱点・・・頭の皿が干からびるとよわい

水棲怪獣ディクロス
ガーバルトの守護神で、容姿はガーバルトそっくりだ。口から、ものすごい威力の高圧水流を吐く。
せなかの固い甲羅は、どんな攻撃を受けてもへいちゃらだ。
得意技・・・高圧水流 くちばし攻撃 上手投げ   弱点・・・頭の皿が干からびるとよわい

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