女ウルトラマン先生 第2話 ◇涼子先生の秘密◇




東京近郊にある地球防衛軍極東エリア基地。この基地の地下に、怪奇現象、怪獣専門のチームUGMがある。
UGMとは、Utility Government Members の略称である。
司令室の扉が開く。オオヤマキャップが、1人の若い女性を連れてやってきた。
「諸君、聞いてくれ。今日から準隊員として一緒に働いてもらう事になった・・・。」
「星涼子です!一生懸命、一所懸命頑張りますのでよろしくお願いします!」
「よろしく。俺はハラダです。」
「タジマです。よろしく。」
「よろしく、涼子さん。私は城野エミ。女性隊員同士、頑張りましょうね。」
隊員達と握手し、しばし談笑する涼子。そこへ、警報が鳴り響いた。
「怪獣出現!UGM隊員は出動願います!」
「よし。ハラダとタジマはそれぞれスカイハイヤー。城野くんと星くんはシルバーガルで出撃だ。星くん、君は初陣だ。あまり無茶をするなよ。」
「了解!」
現場へ急行する、UGMの戦闘機スカイハイヤーとシルバーガル。羽根怪獣ギコギラーが、夜の街を進軍している。
「いた!攻撃開始!」
ギコギラーにレーザー砲を発射する。立ち込める爆炎。だが、ギコギラーには効果がなかった。各機にオオヤマから通信が入る。
「みんな聞け。奴の弱点は背中だ。城野くん、怪獣の後ろに廻って撃て。タジマとハラダは援護射撃。レーザー波状攻撃開始!」
「了解!」
ギコギラーの背後に旋回するシルバーガル。弱点の背中めがけ、レーザー砲が掃射される。ダメージを被ったギコギラーはたまらず退散、
夜空へ飛び去っていく。涼子が叫んだ。
「キャップ!怪獣を追撃しましょう!」
「いや待て・・・。追いつけんだろう・・・。」
「星隊員、あれだけ痛めつけてやればもう戻ってこないだろう。心配しなさんな。」
ハラダとタジマは涼子を諭す。各機は基地へと帰還した。

あけて翌日。今日は、涼子の体育教師としての初めての授業である。だるそうに校庭に整列する1年E組の生徒達。
だが、登場した涼子の姿にギョっとさせられる。
「さあみんな、はりきっていきましょう!!」
「せせせせ先生、その格好は一体なんでありまするか!?」
「何って体操着でしょう?」
「だ、だけど先生がブルマーだなんてッッッッ!」

ぼんやりと校庭を眺めていた校長も思わず茶を吹き出す。傍らにいた教頭も吃驚仰天。
「ななななな、なんザマスあの人は!きききき教師がブルマーを履くだなんて!」
「い、いやぁ〜〜。教師がブルマー履いちゃあいけないという決まりはありませんしねぇ〜〜〜。別におかしくないんじゃないですか?」

「別におかしくないでしょ?あなた達だってブルマーじゃないの。」
平然と言い放つ涼子。
「そりゃ私達は生徒だから・・・。普通、先生はブルマーなんて履かないでしょう?」
「私はね、みんなと気持ちをひとつにして授業がしたいの。そのためにはまず、みんなと一緒の格好しようって思った、ただそれだけよ。
 それにこう、ピシっと身が引き締まる感じがするし、私は好きなんだけどなあ・・・。まあ、そんなにダメダメいうんなら、変えてもいいけど。
 サイズも丁度いいのが無くって、ちょっとピチピチだし・・・。」
「いや先生!先生の言う事は正しい!俺はブルマー先生が好きだ!大好きだ!ピチピチばんざーい!」
「よし、決まり!じゃあ早速グラウンド3周!私に続けぇ〜〜〜!!」
生徒達と一緒にグラウンドを走る涼子。ほとばしる汗。躍動する肢体。揺れる胸。ムチムチの尻・・・。
男子生徒にとって目の毒なのか目の保養なのか。校内で授業を受けていた生徒達も、校庭を駆けるブルマー女教師の姿に釘付けとなる。
矢的もなかばあきれた表情で涼子を見つめた。
「相変わらずムチャクチャだな・・・。」





「みんな、2人一組になって!おんぶダッシュはじめ!それいけぇ!」
ドタドタとグラウンドを走る生徒達。そんな中、1人の生徒がよろめいている。やがて、グシャっと倒れこんでしまった。
「だ、大丈夫!?」
「先生、無理だよ。こいつウンチだからさ。」
「ウンチって?彼は塚本ゆきお君でしょ?」
「運動音痴って事さ。ハッハッハ!」
「笑っちゃダメでしょ。さ、ゆきお君、出来る範囲でいいから頑張って!」
「ぼ、僕もう無理だよ・・・。」
「だらしねぇなあ。それでも男かよ!」
「うーん・・・。じゃあおんぶダッシュはここまで!今度は倒立よ!さ、ゆきお君立って!」
生徒達が倒立を決めていく中、やはり塚本は倒立も出来なかった。グシャっと潰れて、失笑を買う。
「コラァッ!みんな笑わないの!ほら、頑張るのよゆきお君。一生懸命頑張れば、出来ない事なんて無いのよ!」
「ぼ・・・僕に倒立なんて無理だよ!放っといてよ!」
「ま、待ちなさいゆきお君!」
ベソをかきながら走り去っていく塚本。追おうとする涼子を、生徒達が遮った。
「先生、あんな奴放っておけよ。さ、授業続けてくれよ!」
「う・・・うん・・・。」
授業を投げ出すワケにはいかない。涼子は複雑な思いで消えていく塚本を見送った。

放課後、涼子は塚本の家を訪ねる。だが、ゆきおは顔を出さなかった。
「あの子、頑張って勉強して、私立の中学受験したんだけど落ちちゃってねえ・・・。それ以来、何をするにも自身がないようで・・・。
 運動神経だってそんなに悪い方じゃなかったんですけどね・・・。先生、やっぱり不登校なんてなったら、成績に響くんでしょうか?」
「大丈夫ですって。私が首に縄をくくってでも学校に連れて行きます。ゆきおクーーーーン!明日は先生が迎えにくるからねぇぇ!」

その頃、UGM基地のレーダーがギコギラーの姿を捉える。今、ギコギラーは月の裏側にいた。
「・・・再び攻撃をしかけてくる可能性は充分にある。みんな、警戒を怠るな。」

翌朝、涼子と共にオドオドと登校する塚本。
「ほら、もっとデーンと胸を張って!背筋を伸ばして、シャンと歩きなさい!」
「先生は、どうしてそんなに元気なのさ・・・。」
「私はね、1人で地球を持ち上げてるって気になってるのよ。見てなさいよ!」
そういうと涼子は、トイヤと逆立ちをする。
「ホラ、地球を持ち上げてるように見えるでしょ?地球をしょって立つ。地球は重たいなあ。君だってきっと出来るようになるわ。」
「せ、先生、パンツ・・・。」
「え!?キャアアアア!」
スカートであった事を忘れていた涼子は思わずずっこける。イテテと尻をさする涼子を、わなわなと見つめる塚本。
「・・・な、なんだい先生なんて!そうやって、倒立も出来ない僕をバカにしてるんだ!」
「そ、そんなつもりじゃなくて・・・。」
「パンツ見られたくらいでひっくり返るなんて、本当は僕の事なんかどうでもいいんだろう!?学校なんてクソくらえだ!うわ〜〜ん!!」
「ゆ、ゆきお君待ちなさい!!」
逃げ出した塚本を追いかける涼子。その時、怪獣ギコギラーが飛来した。羽根をはばたかせ、建造物を吹っ飛ばす。
「う、うわあああああ!!」
「ゆきお君危ないッッ!!
塚本めがけて落ちてくる看板。涼子は塚本をかばい、看板の下敷きとなった。
「きゃああああッッ!」
「せ、先生!先生ッッッ!!」





UGM戦闘機、スカイハイヤーとシルバーガルが急行する。ギコギラーの背中めがけ、レーザー砲を撃ち放つ。だが、ダメージを与えられなかった。
「畜生!レーザー砲が効かない!」
「パワーアップしたんだわ・・・。」
UGM戦闘機の火器ではギコギラーを倒すことは不可能であった。我が物顔で進軍するギコギラー。

「ゆきお君、逃げなさい!先生の事はいいから、逃げるのよ!」
「せ、先生!」
塚本は必死に看板をどけようとする。ノソノソと近づくギコギラー。汗だくになりながら看板を持ち上げようとする塚本を加勢したのは矢的猛だった。
「塚本、せぇので持ち上げるんだ!行くぞ!」
「矢的先生!せぇのぉ!」
力を合わせ、看板を持ち上げる塚本と矢的。ようやくにして涼子は自由になるが、看板の下敷きになった左足に怪我を負っている。
「矢的先生、ゆきお君を連れて逃げてください!」
「塚本、逃げるぞ!」
「せ、先生!涼子先生!」
「きゃあああああああああああ!!」
「せ、せんせーーーーーーーい!」
ギコギラーの羽ばたきによって、涼子の身体は吹っ飛ぶ。人気の無い空き地に着地した涼子。グっと立ち上がって変身ポーズを取るが、
左足に激痛が走る。それでも涼子は右腕を掲げ、ブライトブレスレットを輝かせる。
「ユリアンッッッッ!!」
高々と腕を掲げ登場するユリアン。だが、左足の痛みは癒えていない。それを押し隠し、地球の平和のためにギコギラーと対峙する。

「あっユリアンだ。ユリアン、頑張れ!」
「いいか塚本。涼子先生に代わってユリアンが大事な事を教えてくれるはずだ。しっかり彼女の闘いを見届けるんだぞ。」

片足でジャンプ、ギコギラーに飛びつくユリアン。チョップやパンチを見舞うが、足に力が入っていないせいか効果が無い。
ギコギラーにド突かれ、吹っ飛ぶユリアン。やはり、片足が使えないのは不利と読み、短期決着を試みる。サクシウム光線の構えを取り、
ギコギラーに照射。だが、ギコギラーはバっと飛び上がり、光線を回避。そのままユリアンにキックをぶつける。
長い尻尾を振り回し、ユリアンに叩きつける。顔、胸を殴打され、負傷した左足を叩かれると、ユリアンは悲鳴をあげる。
「ヴェアアアアア!!」
足を押さえてうずくまるユリアン。ギコギラーが口から火炎を吐くと、それを浴びたユリアンは仰向けにぶっ倒れる。
天高くジャンプするギコギラー。そしてユリアンの左足の上に、両足をそろえて着地した。
「ヴゥッヌゥアアアア!!」
グニャリと足を押し潰されたユリアン。骨を砕かれ、自分の思い通りに足を動かす事が出来なくなる。その左足をギコギラーに持ち上げられ、グリグリと捻りあげられる。
さらに、左足めがけて火炎を放射された。
「ヴェアアアアアアアアア!!フ・・ゥゥ・・・ムゥ・・・・。ググゥッッ!」
ただ胴体と付いているだけの状態の足が、メラメラと燃え盛る。美しい銀色の足からプスプスと煙が立ち昇り、徐々に焦げ始めていった。
何とかギコギラーをはねのけ、必死に立ち上がる。足を不自由にされようとも、なんとかして怪獣を退けようとグっと身構えた。

「こ、このままじゃユリアンが負けちゃう・・・。」
「見るんだ。必死になって怪獣と闘おうとしているユリアンの姿を。」

ギコギラーが羽根を羽ばたかせると、踏ん張りのきかないユリアンはあっさりと倒れる。ギコギラーに蹴飛ばされ、転がり廻るユリアン。
うつ伏せに倒されるも、必死で立ち上がろうとする。ギコギラーは、四つん這い状態のユリアンの股座めがけて火炎を放射した。
「ヴェアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッッッ!!!」
たまらず絶叫するユリアン。ユリアンの腰部の赤いVラインが、紅蓮の炎に包まれる。悶えつつも、尻についた炎は地面との摩擦で消し去る。
そして恥丘を燃やし尽くさんとする炎も、股を大地にバタバタと叩きつけてなんとか鎮火させた。
だがしかし、ギコギラー高熱火炎はユリアンの秘所を確実に痛めつけていた。膣の内部までが大火傷を被っているほどの、凄まじい火力であった。
片足が不自由にされ、さらに自身の身体の中で最も敏感な箇所を傷つけられたユリアンはとうとう力尽きる。瞳の輝きは消え去り、ピクリとも動かない。
痛々しい傷跡を晒し、地に突っ伏すユリアン。





「や、矢的先生、ユ、ユリアンは死んだの・・・?」
矢的猛は答えない。ただ一点、ユリアンの姿を見つめていた。

「(・・・どうした。頑張れユリアン。君がここで敗れたら、誰が地球を守るんだ?)」
そのテレパシーで、意識を回復させるユリアン。声の主は、ウルトラマン80である。
「(わ、わかってる、エイティ・・・。でも、サクシウム光線を当てられなければ、勝てない・・・。ただ撃つだけじゃ、またかわされてしまう・・・。
 エイティ、教えて・・・。どうすれば、怪獣に光線を当てられる・・・?)」
「(ダメージを与えて弱らせるんだ。相手の動きが鈍った時に、光線を放つ。そうすれば、命中する。
 君はまだ充分闘える。折れたのは左足だけだ。他はまだまだ動くだろう?)」

「塚本。ユリアンを応援するんだ。」
「で、でもユリアンはもう・・・」
「彼女はウルトラ戦士だ。いつだって自分の勝利を信じている。やすやすと怪獣に敗れるだなんて考えてはいない。
 今、怪獣に一矢報いようと必死に立ち上がろうとしている。お前の声援が、彼女に力を与えるんだ。さあ、でっかい声でユリアンを応援するんだ!」
「ユリアーーーーーーーーン!!頑張れーーーーーー!!立ってくれーーーーーーーー!!」
ユリアンは塚本の声を聞く。教え子の声援を聞き及び、再び輝くユリアンの瞳。ユリアンは、両腕で体重を支えつつ、右足で地を蹴る。そして、逆立ちの体勢を取った。
そのまま腕のバネを利用して飛び上がる。空中で一回転、ピンと伸ばした右足に全身全霊の力をこめる。
ユリアンキックが、ギコギラーの背中に命中した。咆哮をあげて苦しむギコギラー。そしてユリアンは尻餅をつきつつも、サクシウム光線の体勢を取る。
右腕から放たれる光流。ユリアンの全身全霊をこめた一撃を喰らった怪獣は、目の輝きを消して大地に倒れ込んだ。
「や、やったああ!ユリアンが勝った!」
ユリアンに喝采をあびせる塚本。そして塚本の目に、ユリアンと涼子の笑顔がダブって見えた。幻のように消えたユリアン。塚本が囁く。
「ユ、ユリアン・・・・。涼子せんせい・・・。」

矢的と塚本は、倒れている涼子を発見した。左足に大きな怪我を負っていて、とても歩けそうになかった。
「さ、涼子先生。僕の肩につかまって下さい。」
矢的が涼子を抱え上げようとした時、塚本が涼子の前にしゃがみ込む。
「先生、僕が学校までオンブして行きます。一緒に学校へ行きましょう!」
「ゆきお君・・・。じゃ、お願いしちゃおうかな。」
涼子は塚本におぶさった。大地を踏ん張り、立ち上がる塚本。力強い足取りで、涼子をおぶって歩き始める。
「だ、大丈夫か塚本?重くないか?」
「矢的先生、失礼な事言わないで下さい!」
「大丈夫です先生。それと僕、頑張って倒立も出来るようになってみせるよ!」
「ゆきお君・・・。そうよ!君なら出来るわ!自信を持ちなさい!」
「そうだ塚本!涼子先生をおぶって歩けるんだから、お前は立派なもんだ!」
「だから失礼な事言わないで下さい!!」
「ところで先生・・・。僕、ユリアンが闘ってる所を見て、思ったんです・・・。ユリアンって、涼子先生なんじゃないかなって・・・。」
ゆきおに身体をあずける涼子が、思わずギクっとする。
「けど、どうも違うみたいだ・・・。」
「ど、どうして?」
「ユリアンって凄いボインだけど、涼子先生ってユリアン程じゃ無いみたい・・・。」
「コ、コラァ!あなたまで失礼な事いうんじゃありません!」
塚本をポカポカと殴りつける涼子。
「イテテ!か、勘弁してよ先生!」
「ハハハ、そうか。涼子先生の方は大した事無いのか。ハハハハハッッッ!」
「笑いすぎです!」

“・・・あれからゆきお君は毎日倒立の連習をしています。きっといつか、倒立が出切る日が来るでしょう。私も彼に負けないよう、
 もっともっと頑張っていきたいと思います。

P.S. またあなたの声を聞きました。わざわざM78星雲からテレパシー送るのも大変でしょう?そろそろ、全部私にまかせてもらえないかしら。 “


                                   ― 続く ―

 

 ※当作品に、ポクモ様より挿絵を頂戴いたしました。こちらをクリックして、是非ご鑑賞ください。

 

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