死刑!ウルトラウーマンベス!

 

「ゴルゴダ星で待ってます。ユリアン」

ベスはウルトラサインを確認した。マイナス宇宙のゴルゴダ星は遠かったが、他でもないユリアン王女のサインを

無視するわけにはいかず、ベスはゴルゴダ星に急行した。と、そこへ現われたのはエースキラー。

「待っていたぞウルトラウーマンベス。覚悟!!」ビーーーーーー!!

「!?」すんででかわすベスは驚いた。エースキラーが放った光線は、腕を十字に組んで発射されたもの

だったからである。スペシウム光線だ。間髪いれず放たれたビームの軌道はエメリウム光線である。

「グアァ!!」光線はベスの肩口をかすめた。傷口を押さえてうずくまるベスに向かって、今度はウルトラ

ブレスレットが飛んでくる。なんとか側転で回避するベス。が、光の刃は方向転換。

無防備のベスの背中に、ブレスレットがブスリと突き刺さる。

「キャアーーーー!!」ベスは悲鳴をあげうつ伏せに倒れた。エースキラーはベスに近づき、背中に刺さった

ブレスレットをズバッ!と引き抜く。飛び散る鮮血。さらにエースキラーは、ベスの背中をめった刺しにする。

「グワァ!アウゥ!ウガァァ!ガハァァ!!アァ!!」背中に激痛が走るたびに巻き起こるベスの絶叫。

救いを求めるように天に手を伸ばすが、エースキラーの残酷な攻撃は止まない。エースキラーは、

ベスの肩口に刃を深く突き刺し、それを尻の方まで一気に引き裂いた。ビリィィィィィ!!!

「ギャアアアアアアアアーーーーーーーーーーー!!」ベスの血が一気に噴出する。

「どうだ、ウルトラ4兄弟の力を持った私の力は。」ベスは応えない。

「どうだと聞いている!!」瞳の輝きを失ったベスの、血だらけの背中をガスガスと踏んづける残虐異次元超人。

ベスが気がついた時、彼女は十字架にかけられていた。目の前では、エースキラーがエメリウム光線の

体勢をとっていた。放たれたビームが顔面をとらえようとした瞬間、なんとか顔をそらし直撃は免れたが、

彼女の左側の、下方に垂れ下がった角にあたり、それが破裂した。

「ヒィィ!!」ベスは小さくうめいた。相手はどうやら、動けない自分にウルトラ兄弟の技を試し撃ちしようと

しているらしい。ベスは恐怖した。宇宙警備隊の中でも最強の軍団、ウルトラ兄弟の必殺技の直撃を受けたら、

間違いなく殺される。ガタガタ震えるベスに対し、エースキラーはスペシウム光線を放った。

「キャアアアアーーーーーーー!!!」英雄ウルトラマンが多くの凶悪怪獣にとどめをさしたその光線を

身に受け、ベスは絶叫した。が、まだなんとか生きている。

「(力をセーブしたのか・・・?・・・私をジリジリといたぶって殺す気なのだろうか・・・)」

続いてエースキラーは、ブレスレットを構えた。ベスの身体めがけて放たれた鋭利な刃は、ズボォ!!と

音をたて、ベスの柔らかい股間にめり込んだ。生涯受けた事の無い激しすぎる痛みがベスを襲った。

「ウギャアアアアァァァァァァーーーーーーーーーー!!!」

最大級の悲鳴をあげ、ベスは失神した。根深く食い込んだ刃から血が滴り落ちる。

磔にされたベスに歩み寄ったエースキラーは、ブレスレットをベスの身体から力まかせに引っこ抜く。

傷口から大量の血が吹き出す。エースキラーはうなだれたベスの頬をぺちぺち叩き、言い放った。

「おい、起きろ、起きないか。まだ一つ残ってるんだぞ。こんなもんで死ぬんじゃない。」

かなりの時間がたったころ、ようやくベスが目を覚ます。ベスの目にまず飛び込んできたのは、ユリアンの姿だ。

「ユ、ユリアン王女!?・・・い、いや、違う・・・こ、これは・・・・」

「ユリアンロボット。彼女の同等の力と肉体を持っている。これから、面白いものを見せてる。」

ユリアンロボットはエースキラーと対峙。すっと動き出すと、まずはユリアンキックを放った。

エースキラーはエメリウム光線であっさりと彼女を撃墜。さらにもう一発はなった光線がユリアンの目に直撃し、

グシャア!!と音をたてて、彼女の瞳が破壊された。続いて放たれたウルトラブレスレットは、

行きの一撃でユリアンの左腕を切断。さらに帰りの一撃で右腕を切断した。

豪快に吹っ飛ぶユリアンの両腕。うろたえるユリアンにむけて放たれたスペシウム光線は、

ユリアンの腹に直撃し、そのうち胴体を貫通した。

「そして見よ。これが伝説の必殺技、M87光線だ!!」高らかに宣言したエースキラーの右手先端から

放出される光の帯が、ユリアンめがけて襲い掛かる。ドガァァァァン!!凄まじい爆発が巻き起こり、

ユリアンの身体は粉々になる。吹っ飛んだ首から先が空から舞落ちてきた。

恐ろしい光景を目にしたベスは恐怖におののいた。

「(こ、これが・・・・ほとんど誰も目にしたことがないという、ゾフィー隊長の伝説の必殺技、M87光線・・・・)」

「ウルトラウーマンベスよ。お前が意識を失っている間に、偽のウルトラサインでユリアン王女をここへ

 呼びつけておいた。そう、お前をここへおびき寄せたようにな。やがてここに現われ、

 そしてこのような無残な姿に変わり果てる。」

「な、なんですって・・・・!?」エースキラーはユリアンの首をサッカーボールのように蹴っ飛ばした。

「ヤツが現われるまで、たっぷり可愛がってやるから安心しろ。」

 

銀河に散った2つの星

 

「ゴルゴダ星で待ってます。ベス」ウルトラサインを受け取ったユリアンはゴルゴダ星に飛来した。

「こんな遠くまで、一体なんの用だろう・・・」ようやくにしてゴルゴダ星に到着したユリアンは、ベスの姿を捜す。

「キャアアア!!」ユリアンの元に絹を裂くような女の悲鳴が届く。声の聞こえた方向を目指すユリアン。

「ウギャアア!ギヒィィ!グオォォ!!ガハァ!!ギャア!ギャアア!ウッギャアアァァァァ!!」

とても人の口から発せられているとは思えないその咆哮は、どこか聞き覚えのある声だった。

「!!ベスだ!!」ユリアンは声のはっせられている丘にむかう。そして彼女は、十字架に磔にされた

女が凄まじい姦計を受けている情景を目にした。女はベスだ。叫ぶユリアン。

「ベ、ベスゥ!!」「・・・お、王女っ・・・き・・・来てはいけません!!ギャアーーーー!!」

エースキラーの手刀がベスを貫く。丘に駆けつけたユリアンは、ベスの変わり果てた姿に驚愕した。

角を折られ、頭部が裂け、片目を潰され、口から血を流し

肌のあちこちが削がれ、胸を潰され、股を血に染め、太ももから筋が覗く・・・。

人はここまでされても生きていられるものかと思うほど、凝視できないくらいの残酷な姿だった。

「待ちかねたぞユリアン王女。」「よ・・・よくもベスを・・・よくもベスを!!」対峙する両者。

「・・に、にげて・・逃げてください王女っ。殺されてしまいますっ」声の限り叫ぶベス。

「ベス、今助けてあげるわ!!」飛び掛るユリアンに対して、エースキラーのスペシウム光線が飛ぶ。

「ウワァァァ!!」直撃を喰らい、倒れこむユリアン。

「お、王女ぉ!や、やめろエースキラー!!やるなら私をや、ギィャアアアアアア!!」

「うるさい」エースキラーのエメリウムを喰らい、血を吹き出すベス。

「お・・・おうじょ・・・や・・・やつは・・・」口をパクパクさせてなにやら言葉を発するベス。

「ウ、ウルトラ兄弟の技・・・・・?」驚きの表情を浮かべるユリアン。エースキラーは右手を左腕にそえた後、

すっと右手をユリアンにさし向ける。ウルトラブレスレットがユリアンに迫った。ユリアンは素早くそれをかわした。

「王女っ、うしろですっ」ベスの必死の叫びがユリアンに届いた。後ろを振り返ると、

光の刃がユリアンに迫っていた。ビリッと肌をかすめるも、直撃は免れた。そしてユリアンは震える。

「ど、どうしてウルトラブレスレットまで・・・?ど、どうすれば・・・」同族ゆえウルトラ兄弟の偉大さを知りすぎていた

ユリアンは、その技をおのれにぶつけてくる相手に恐怖し、膝をガタガタと振るわせた。

 

「で、でも・・・でもベスを助けないと・・・ベスを助けなくては!!」ユリアンは決心した。必殺のユリアンキックを

エースキラーに向ける。しかしあっさりとかわされ、その身にウルトラの必殺技を喰らう。

「ウ、ウアアア!キャアア!アゥ!グハァ!イヤアアアアアアア!!」ユリアンの絶叫がこだまする。

「ユ、ユリアン王女・・・く、くううう!」守るべき人物が残虐な悪魔に嬲られている光景を、みつめる事しか

できない。己のふがいなさに腹を立てるベス。ユリアンは体力が消耗し、立っている事も出来なくなった。

「だ、だめ・・・かなうはずない・・・ベス・・・ベス・・・」倒れこむユリアン。

エースキラーは容赦なく攻撃を続けようとしていた。

「・・・私に残っている全てを、お渡しいたします・・。どうか、お逃げください・・・」ベスは一人呟いた。

エースキラーの光線が放たれようとした、その時。「・・・あなたに、力を・・・」ベスのカラータイマーから

一筋の光がのび、ユリアンの元に届く。

「はっ・・ち、力が、来る・・力が、戻ってくる・・」ユリアンの体力が回復した。が、ユリアンに逃げる意思はなかった。

「ベスを置いてなんか行けない!!喰らえ!!ユリアンキィッッックゥゥ!!」

「M87光線!」エースキラーから光のシャワーがユリアンに向けて発射される。あたりを爆風が包み込む。

「ユ・・・ユリアン・・・おうじょ・・・」噴煙が消え去ると、ボロボロの姿で倒れているユリアンの姿が現われる。

エースキラーは彼女を抱え、新たに用意した十字架にくくり付けた。

やがて意識を回復したユリアンだったが、その身を拘束されている事実に呆然とした。エースキラーは語り始めた。

「面白いことを教えてやろう。私はウルトラ兄弟の技など使っていない。すべて偽の光線だ。ブレスレットもこの通り、

 ただのブーメランだ。」

「ひ、ひきょうだわ・・・私たちを怖がらせておくためにそんなマネするなんて・・・」

「ニセモノに気付かず、勝手に恐れて腰が引けていたお前達が悪い。お前達は弱い、だから負けのだ。

 それから、この星の気温は絶対零度に向けて序々に低下を始めている。おそらく24時間以内に誰かが

 救出にこなければ、お前達は死ぬだろう。」

「な、何故こんな酷いことを・・・」

「ただの退屈しのぎだ。それではさらばだ。ユリアン王女、ウルトラウーマンベス。」

エースキラーは飛び去った。

「そ、そんな・・・ベス、どうすれば・・・?ベス!?ベス!!」ユリアンの呼びかけに応えないベス。瞳の輝きはとうに

失われていた。

「い・・・イヤアァァァ!!死にたくない!誰か!誰か助けて!!誰か助けに来てぇぇーーーーーー!!」

ユリアンの叫びがゴルゴダの丘にこだまする。

 

 

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